位相が変わると、
音は違って聴こえる?
「位相」は少しイメージしにくい音響用語です。ここでは正弦波と調波複合音を使って、できるだけ数式に頼らずに確認します。最後は、位相だけを変えた音を実際に聴き比べてみましょう。
まず、「位相」とは?
最も基本的な波である「正弦波」で考えてみます。正弦波は、同じ形を周期的に繰り返す波です。
同じ周波数、同じ大きさの正弦波でも、波の山や谷が現れる位置をずらすことができます。この「1周期の中で、波がどの位置にあるか」を表すものが位相です。




周波数と振幅は同じです。変わっているのは、波の山・谷が現れる位置=位相です。
実際の音は、いくつもの成分が重なっている
実際に私たちが聴く音の多くは、ひとつの正弦波だけでできているわけではありません。さまざまな周波数成分が重なり合って、ひとつの複雑な波形をつくっています。
今回の比較試聴では、65 Hzを基本周波数として、10次までの高調波を含む調波複合音を使用します。
基準音





位相変更音





同じ次数の振幅は、基準音と位相変更音で同一です。一部の成分の位相関係だけが変わることで、足し合わせた合成波形の形が変化します。
振幅スペクトルは同じ。でも、時間波形は違う
今回の基準音と位相変更音では、各周波数成分の振幅そのものは変えていません。そのため、各成分の強さを表す振幅スペクトル(パワースペクトラム)は同じです。
一方で、成分同士の位相関係が変わるため、時間軸で見た合成波形の形状は変化します。

細い縦線は、音に含まれる各高調波だけを示す線スペクトルです。○が基準音、×が位相変更音で、両者は同じ位置に重なっています。高調波間を線でつないではいません。

一方、各成分の位相関係が変わるため、合成された時間波形の形は明確に変化します。
人の耳で聴き分けられるのでしょうか?
位相シフト有無 比較試聴テスト
Aは常に「基準音」です。Bには問題ごとに「基準音と同じ音」または「位相を変更した音」のどちらかが提示されます。AとBは何度でも聴き直せます。
A:基準音
常に同じ基準音を再生します。
B:比較音
基準音/位相変更音のどちらかです。
AとBは、同じ音に聴こえましたか?
どこが、どのように違って聴こえましたか?
違いを感じたポイントを、自由な言葉でメモしてみてください。
テストの提示条件を見る
試聴音は65 Hzを基本周波数とし、10次までの高調波を含む調波複合音です。Aは常に基準音、Bは基準音または位相変更音を提示します。このページでは10問中5問ずつをランダムな順序に並べています。
再生ボタンを押すと、選んだ音を必ず先頭から再生します。別の音が再生中の場合は停止してから、新しい音を先頭から再生します。
位相が違えば、いつでも違って聴こえる?
ここが、位相知覚の面白いところです。位相を変えれば、どんな条件でも同じように違って聴こえるわけではありません。
次のステップ:Musicではどう聴こえる?
位相変化の聴こえやすさは、変化させる周波数帯域や音の構成、提示条件などによって変わります。次のステップでは、振幅周波数特性(ゲイン)はFlatのまま、位相周波数特性だけを変化させるフィルタを使ってMusicに位相変化を付加し、実際の音楽ではどのように聴こえるのかを比較していく予定です。
